
こんにちは。神戸日帰り外科そけいヘルニアかずクリニック院長の藤木和也です。
今回は私の専門である、「鼠径ヘルニア」についてお届けします。
鼠径(そけい)ヘルニアは、足の付け根(鼠径部)の筋肉に穴が開き、
おなかの臓器が脱出することで膨らみがみられる病気です。
一般に脱腸と呼ばれています。
おなかは従来、筋肉の壁で覆われいるため、臓器が飛び出ることはありませんが、
この筋肉の壁が弱くなってしまう(穴が開いてしまう)と中の臓器が脱出してしまいます。
風船をイメージしてみてください。風船のゴムの厚さが均等であれば、均等に膨らんでいきます。
一方で、ゴムの薄いところ(弱いところ)があると、息を吹き込んだときに(力がかかったときに)
弱いところだけ、「ぽこっ」と膨らむ。
あんな感じのイメージになります。(例えが分かりづらかったらすみません。)
年間50万人が発症するといわれている鼠径ヘルニアですが、
実際に治療を受けられるのは3割程度とされています。
「痛みがない」など、膨らみ以外の症状がみられないことがあるため放置されてしまうようです。
しかし、鼠径ヘルニアを放置していると『嵌頓』という恐ろしい状態になってしまうことがあります。
ヘルニア内に腸管が脱出し、脱出した腸管が戻らなくなることを『嵌頓』といいます。
嵌頓をおこすと、場合によっては、腸管への血流がなくなってしまい、腸管の壊死、穿孔、
腹膜炎に至り、命に関わる危険な状態となってしまうことがあります。
こうなってしまった場合は、緊急手術にて壊死した腸管の切除など大きな手術が必要となってします。
鼠径ヘルニアの嵌頓はいつ起こるか予測が困難です。
「膨らみが小さいから大丈夫」「長年、膨らみと付き合ってきたから大丈夫」
こういった声を耳にすることがありますが、実際に、初めて鼠径ヘルニアと診断されたときには、
すでに嵌頓してしまっていたため緊急手術が必要となった方や、
いつもは簡単に戻っていたけど、全然戻らなくなって腫れ上がってきてしまった方など、
これまでに何人も診てきました。
鼠径ヘルニアは放置していても治りません。
少しの勇気を持って、受診いただくことをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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